共通選択科目
| 科目名 | 未来の学びを考える~子どもと社会をつなぐ教育~ |
|---|---|
| 講師名 | 藤井 千春(早稲田大学 教育・総合科学学術院教授、総合研究機構教師教育研究所所長) |
| 年度 | 2026年 |
| 学期 | 春学期 |
| 曜日 | 金曜日 |
| 時間 | 10時30分~12時00分 |
| 日程 | 4月24日、5月8日、5月15日、5月22日、6月5日、6月12日、6月19日(補講日:6月26日) |
講義概要
現行の学習指導要領は、子どもたちに「何を教えるか」ではなく「どんな力を育てるか」を基盤に編成されています。
学校教育の役割も「持続可能な社会の創り手を育てること」とされ、社会課題の解決に向けて多様な人々と協働し、探究する力の育成が重視されています。
本講義では、学びのあり方が「知識を与える」から「協働して探究する」へと転換してきた背景を解説します。さらに「総合的な学習(探究)の時間」の意義や、学校での具体的な取り組み事例を紹介しながら、教育の新しい可能性を考えます。
受講を通して得られるもの
①「知ること・学ぶこと」に関する新しい理論
②イノベーションに必要な資質・能力の理解
③「総合的な学習(探究)の時間」の意義と条件
④学校教育の現状と課題の把握
⑤今後の日本社会の課題に対する学校教育の対応
受講の際の注意事項
| 受講前に必要となる知識・準備 | 不要 |
|---|---|
| グループワーク | あり |
| 課題 | なし |
各回の講義予定
| 回 | テーマ |
|---|---|
| 概要 | |
| 第1回 | テーマ:産業基盤社会から知識基盤社会へ |
| 2017年告示の学習指導要領では、20世紀の産業基盤社会における学習観からどのような転換を遂げたのかについて、「競争から共創」という観点から、20世紀の学校教育の果たしてきた役割及び学習観と対比しつつ説明する。そのようにして平成の30年間を通して学校教育の役割についての考え方及び学習活動の原理が転換してきたことについて理解する。 | |
| 第2回 | テーマ:「知ること・学ぶこと」をめぐる哲学 |
| 1980年前後からポストモダンの思潮の中で、「知る」ことをめぐる近代西洋哲学の伝統的な「真理を知る」という考え方が否定され、「知る」とは他者と共同の活動において、共有された目的の実現を目指して取り組む過程で、目的を実現するための世界との相互作用の方法を学ぶことだという社会構成主義的な考え方に転換された。このことが21世紀の学校における学習活動の原理として採用されていることを理解する。 | |
| 第3回 | テーマ:「総合的な学習(探究)の時間」の意義 |
| 2000年ごろ「総合的な学習の時間」の実施により子どもたちの学力低下が深刻になることが懸念された。しかし、その後の全国学力学習状況調査やPISAの学習到達度調査では学力の上昇が確認された。「総合的な学習の時間」の学習活動のどのような要素が子どもたちの学力向上の要因となったのか、またどのような学習活動の在り方が子どもたちの生き方の支えとなっているのだろうか。事例を手がかりに考察する。 | |
| 第4回 | テーマ:「総合的な学習の時間」の事例—小学校 |
| いくつかの学校における「総合的な学習の時間」の学習活動を紹介する。体験活動や協働的探究を通じて、児童にどのような教育的な価値が生まれるのだろうか。事例を手がかり学童期の子どもの成長にとって何が大切なのかについて考察する。 | |
| 第5回 | テーマ:「総合的な学習(探究)の時間」の事例—中・高等学校 |
| いくつかの学校における「総合的な学習の時間」の学習活動を紹介する。体験・実験・調査・インタビュなどの活動や多様な人々との協働的探究を通じて、生徒にどのような教育的な価値が生まれるのだろうか。事例を手がかり思春期の青少年の成長にとって何が大切なのかについて考察する。 | |
| 第6回 | テーマ:新たな教育課題への挑戦―スーパー・グローバル・ハイスクール、スーパー・サイエンス・ハイスクール、アントレプレナーシップ教育、地域課題への挑戦 |
| アントレプレナ―シップ教育、スーパー・グローバル・ハイスクール、スーパー・サイエンス・スクール、アントレプレナーシップ教育、地域課題への取り組みなど、「総合的な探究の時間」を中心に新しい高校教育の実践を追求している学校の取り組みを紹介する。未来を生きる生徒たちにどのような学習体験が必要なのかについて考察する。 | |
| 第7回 | テーマ:「子ども=未来」の展望と学校教育の役割 |
| 経済成長を支える国民を育成するという20世紀的な学校教育の使命と在り方を歴史的に相対化するとともに、私たちの社会が安定的に持続していくために学校はどのような役割を担い、また子どもたちにどのような原理に基づいて学習活動を経験させることが必要なのかについて考察する。一連の講義を振り返り、受講者間の対話を通じて、それぞれの考えを深める。 |
講師紹介
- 藤井千春
- 早稲田大学 教育・総合科学学術院教授、総合研究機構教師教育研究所所長
筑波大学大学院博士課程教育学研究科単位取得退学。
博士(教育学)
茨城大学教育学部助教授などを歴任し、2002年より現職。
日本デューイ学会会長、教育哲学会理事(-2025)、日本生活科・総合的学習教育学会常任理事(-2026)
「平成21年告示高等学校学習指導要領解説総合的な学習理時間編」「平成30年版高等学校学習指導要領解説総合的な探究の時間編」作成協力者、文部科学省スーパー・グローバル・ハイスクール企画評価委員、経済産業省初等中等段階における起業家教育推進協議会座長。
著書『ジョンデューイの経験主義哲学における知性論』(早稲田大学出版)、『問題解決学習で育む「資質・能力」』(明治図書)など多数。