LRCについて

LRCの趣旨と特徴

Life Redesign College - 人生100年時代の大学 -

背景

-人生のあり方の変容と課題-

高齢化最先進国である日本。一度しかない人生が長くなるということはそれだけ幸せな時間が続くということであってほしいものです。長寿化や働き方の変容により、人生のあり方は「教育→仕事→引退」という3つのステージからなる従来の枠組から解き放たれ、変化を遂げようとしています。しかしながら、その過渡期にある現代の日本において、既に主たる仕事を引退した、あるいはまもなく引退しようとしている人たちが次の人生におけるステージを描くためのスプリングボードとなる選択肢があまりにも少ないため、無気力になってしまうケースも少なくありません。このことは、社会全体が豊富な知識と経験を有する50代以上の人材という貴重なリソースを逸していることを示しており、日本社会の大きな課題といえます。

趣旨

-受講生とともに描く、人生後半のロールモデル-

早稲田大学は創設から4年後の1886年より「大学の知」を社会に広く解放するべく、様々な取り組みを行ってきました。超高齢化社会に直面した現代においてもその姿勢を貫き、人生の後半においても社会や人々と繋がり続け、有意義に生きるための学びの機会とコミュニティを提供することで、人生の再設計「Life Redesign」という大学の新たな価値を受講生とともに創造します。「Life Redesign College(LRC)」は全ての受講生やパートナーとともに、現代そして未来の日本における新たな人生の後半のロールモデルを描き続けます。例えば、修了後も大学院等へ進学することでさらに学びを深めたり、社会課題の解決に取り組んだり、自身の経験と技術を活かして講師としての活動を行うなど、様々なケースが生まれてくることが期待されます。LRCではそのための充実したサポートを続けます。

特徴

-大学というフラットな環境で仲間と描くそれぞれの「いきがい」-

LRCではワークショップやディスカッションを通じて、幼少期から現在までの体験や知識、これまでの人生で得たスキルの棚卸しを行い、興味と関心を掘り下げると同時にこれからの自身の人生における「いきがい」を探求するための仕組みを用意しています。

-クラスワークをはじめとするコミュニティの促進-

「いきがい」の探求と両輪をなすものとしてコミュニティの形成を最も重要視しており、ゼミナールや各講座での交流はもちろんですが、独自の制度として1年間を通じて所属する「クラスワーク」を導入しています。クラスワークでは早稲田大学の名誉教授を中心とする講師陣が担任となり、1年間、受講生とともに様々な事柄についてディスカッションなどを行います。ゼミナールやクラス単位での合宿なども任意で行うことができ、本学のセミナーハウスの利用も可能です。

-大学らしい学生生活と修了生組織の形成-

受講生同士の自主的な勉強会やサークル活動を行う際などは一部の教室を開放するなど、LRCとしてもサポートを行います。また大学ならではの異世代、異文化交流の機会を設け、思考の柔軟性を保ち続けることに繋げます。なお、1年間の修了後も学び続け、かつ修了生および受講生同士のコミュニティに参加するためのオフィシャルの会員制度(会費制)を設ける予定です。

ご挨拶

社会人教育事業室室長 守口剛の画像

社会人教育事業室室長
守口 剛

Life Redesign College(LRC)は、50代以上の方々が人生を再設計する場を提供するという目的で設立する、「人生100年時代の大学」です。時代の変化とともに、人々の働き方、暮らし方、学び方が多様化してきました。新型コロナの流行が、このことをさらに促進しているように見受けられます。学校を卒業し就職してリタイアするというこれまでの直線的な人生だけではなく、仕事、学び、余暇を複線的、重層的に織り成すような生き方も増えています。このような時代認識のもと、LRCは、長年仕事を続けてきた方々、仕事や子育てを終えた方々に、新たな学びとコミュニティを提供します。
人生の後半を生きる方々の学ぶ目的はさまざまだと思います。好きな分野の学びを深めることに生甲斐を見出す方、学んだことを活かして社会の役に立ちたいと考える方、自身の経験に基づく知識やスキルの発信と伝承に関心のある方など、人それぞれの学びの目的や動機があるはずです。LRCでは、それらの多様な目的に応えるために、「Liberal Arts(教養)」「Social Issues(社会課題)」「Communication(表現・伝承)」の3つの専門領域を設置しています。また、導入として学ぶ「Life Redesign」科目群によって、人生の再設計をするための土台となる知識や思考法を学び、秋・冬学期のゼミナールを通じて学びを深めます。
遅すぎる学びはありません。
LRCでの学びを通じて、皆様のこれからの人生がさらに豊かに彩られることを願っています。

サポーターメッセージ

サポーターメッセージ 弘兼憲史氏

弘兼憲史氏

漫画家。1974年にデビュー。1984年、「人間交差点」で小学館漫画賞(青年一般部門)、1991年、「課長 島耕作」で講談社漫画賞を受賞。また、「黄昏流星群」で2000年に文化庁メディア芸術祭優秀賞、2003年に日本漫画家協会賞大賞を受賞。2019年、長きにわたって漫画界に多大な功績を残した作品として「島耕作」シリーズが選ばれ、講談社創業110周年特別賞を受賞した。現在、「相談役島耕作」(『週刊モーニング』講談社)、「黄昏流星群」(『ビッグコミックオリジナル』小学館)を連載中。本学校友(1970年法学部卒)。

仕事や子育てで大変な50歳前後を過ごしたみなさんが、その後の人生を楽しく、有意義に過ごすことは個人にとっても社会にとっても非常に重要で、私もいくつかの作品でその大切さについて触れてきました。歳をとってからの友人作りは簡単ではありませんが、LRCには「これから学ぼう、今後のためにもう一度学生生活をしてみよう」という同じ意向をもつ方々が集まるので、それぞれが無用なプライドを排し、学生時代のような日々の中でフラットに付き合うことができるなら、とてもよい関係性が築けるのではないでしょうか。
母校の早稲田大学がプレシニア・シニアの方々に向き合おうとする姿に感心し、私もサポーターとして少しでも力になれればと思っています。

サポーターメッセージ 岡田武史氏

岡田武史氏

株式会社今治.夢スポーツ 代表取締役会長、FC今治オーナー。元サッカー日本代表選手。平成2年に現役引退後、指導者となる。平成19年12月には日本代表チーム監督に就任し、チームを2010 FIFAワールドカップ 南アフリカ大会ベスト16へ導く。令和元年日本サッカー殿堂入り。本学校友(昭和55年政治経済学部卒)。

プレシニア、シニアの皆さんがあらためて学生生活を送り、さらに社会とつながっていくという人生100年時代における母校の新たな構想について深く感銘を受けました。私自身も58歳から経営者の道を歩み始めましたが、これからの時代、それまでの蓄積を活かしながら、あるいは新しい技能や知識を身につけて60代以降に未知の世界に飛び込む方や、仲間とともに世の中のために尽力される方が増えることでしょう。このLRCで学んだ方々がそのパイオニアやリーダーのような存在となり、ひいては社会全体が活気に満ちあふれていくことを心より期待しています。

サポーターメッセージ いとうまい子

いとうまい子氏

1983年アイドルデビュー。現在はドラマや映画で俳優をこなす一方、テレビ番組でコメンテーターとしても活躍。また、テレビ番組制作会社(株)ライトスタッフ代表取締役社長である。早稲田大学入学後は修士課程にて「ロコモティブシンドローム」予防のための高齢者に役立つ医療・福祉ロボットの研究に携わり、2019年よりAIベンチャー、エクサウィザーズのフェローに就任、現在は早稲田大学大学院博士課程に在籍しながら、東京大学大学院農学生命科学研究科と抗老化学を共同研究中。

最初にLRCについて説明を受けた時、超高齢化社会における大学のあらたな価値を創造しようとしていることを知り、非常に早稲田大学らしい取り組みで、在学生として誇らしく思いました。私自身、これまでの人生で関わった方々へ恩返しをしたいという思いから早稲田大学に籍をおくようになり、まだ道半ばではありますが、学んだことや研究成果が世の中のためになる日を夢みて、忙しくも充実した毎日を過ごしています。同じ大学で学ぶ者として、少しでもLRCおよびLRCに入学される皆さんのお役に立てればと思っています。いつの日か、皆さんとともに明るい未来について語り合うことを楽しみしています。