専門科目群/Social Issues(社会課題)領域
| 科目名 | 食料・農業・農村問題入門~再生の道を考える~ | 
|---|---|
| 講師名 | 早稲田大学教授 柏雅之 | 
| 年度 | 2026年 | 
| 学期 | 秋学期 | 
| 曜日 | 木曜日 | 
| 時間 | 14時50分~16時20分 | 
| 日程 | 10月9日、10月16日、10月30日、11月6日、11月20日、11月27日、12月4日 (補講日:12月11日)  | 
                
講義概要
この講義では、世界的視座での考察をふまえて、日本の食・農・農村の諸問題と再生の道を考えていきます。SDGsが大きな世界的課題となる中、これらの再生は不可欠です。他方、日本では「令和のコメ騒動」に振り回されています。講義ではまず世界の食料と農業の問題点を紐解くことから始め、日本におけるその再生の論理と方法を学びます。農業は、いのちを育む食を生みだすだけではなく、国土を災害から守り国民の富である環境を創造する働きもあります。こうした農業と、その空間である農村の再生に関して、先端的な活動事例もできるだけ紹介していきます。さらにそれらを支える農業政策の歴史と、今般のコメ騒動の経験を踏まえた今後の農政改革のあり方について理解を深めていきます。
受講を通して得られるもの
              (1)世界の食料と現代農業の問題点を読み解くことができるようになる。
(2)日本の食料・農業・農村に関する問題を読み解き、その再生の論理と方法を理解できるようになる。
(3)「令和のコメ騒動」のメカニズムと農政変革のあり方について理解できるようになる。
(4)農業と環境問題との関係を理解できるようになる。 
(5)フードシステム革新、6次産業化や農商工連携について理解を深められるようになる。            
受講の際の注意事項
| 受講前に必要となる知識・準備 | 不要 | 
|---|---|
| グループワーク | なし | 
| 課題 | なし | 
各回の講義予定
| 回 | テーマ | 
|---|---|
| 概要 | |
| 第1回 | テーマ:世界の食料・農業問題を読み解く | 
| 今世紀、世界は農産物の過剰から逼迫の時代へと入ったのか?  世界の「食」を支える現代農業は持続可能なのか?  | |
| 第2回 | テーマ:農業の持続可能性を考える | 
| 農業とは何か?  農業の持続性~先進国農業、そして途上国での「緑の革命」を問う~  | |
| 第3回 | テーマ:日本農業・政策の流れと今後の課題 | 
| 戦前から現代に至るまでの日本農業と農村の歴史を理解する。  農業・農村政策の歴史的な流れと課題を理解する。  | |
| 第4回 | テーマ:日本農業の構造、「令和のコメ騒動」、そして農政改革 | 
| 日本農業の真の実態を知り、「令和のコメ騒動」の理解を深め、そして農政改革のあり方を考える。 | |
| 第5回 | テーマ:日本農業の担い手問題を考える | 
| 担い手問題を考える論理とは~農民層分解について学ぶ~  大規模個別経営か、集落営農か~先端的な事例から学びえるもの~  | |
| 第6回 | テーマ:中山間地域の農業・農村の再生を考える | 
| 中山間地域農業・農村再生の重要性と困難さ 農業維持と地域経営のための先端的な事例から学びえるもの~集落営農の広域連携化、「広域経営法人」、そしてJAの新たな挑戦~  | |
| 第7回 | テーマ:フードシステムの変革、6次産業化、農商工連携 | 
| これらがクローズアップされたのはなぜか?~国内要因と「外圧」~  先端的な事例から学びえるもの~地域農業の束ね役としてのJAの重要性~  | 
講師紹介
              - 柏 雅之
 - 早稲田大学教授、農学博士(東京大学)
 
早稲田大学人間科学学術院教授。東京大学大学院修了(農学博士)。共生社会システム学会会長。茨城大学教授、東京農工大学大学院教授(連合農学研究科)、バーミンガム大学客員研究員、ロンドン大学(インペリアルカレッジ)客員研究員などを経て現職。東京農工大学21世紀COEプログラム「新エネルギー・物質代謝と『生存科学』の構築」サブリーダー、日本国際賞(Japan Prize)選考委員、食料・農業・農村政策審議会専門委員などを歴任。日本農業経済学会奨励賞、同学術賞、農村計画学会賞などを受賞。著書に『現代中山間地域農業論』(御茶の水書房、1994年)、『条件不利地域再生の論理と政策』(農林統計協会、2002年)、編著書に『地域再生の論理と主体形成―農業・農村の新たな挑戦―』(早稲田大学学術叢書54、早稲田大学出版部、2019年)など。