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Life Redesign科目群

科目名 コミュニティ心理学入門~心の健康を保持・増進するために~
講師名 上智大学教授 久田満
学期 春学期
曜日 土曜日
時間 14時45分~16時15分
日程 5月14日、5月21日、5月28日、6月4日、6月11日、6月18日、6月25日

講義概要

コミュニティ心理学とは、1960年代のアメリカにおいて登場した比較的新しい心理学の一分野である。その特徴は、①人間が本来もっている強さと有能さを重視すること、②人間の多様性を尊重しあらゆる差別から解放すること、③古典的心理学にみられる個人の内面重視の考え方ではなく生活環境の影響力を重視すること、④他の専門領域の人々やボランティア等の非専門家と協働すること、⑤包摂的(インクルーシブな)社会への変革を目標とすることなどである。この講義では、コミュニティ心理学の持つこれらの特徴や基本的な考え方を理解し、様々な実践例を通してこの専門領域に関する知識を増やし、日常生活にどう活かしていくべきかについて検討する。

受講を通して得られるもの

① 心が健康であることとその保持・増進には「人と人との支え合い」が重要であることを理解できる
② 心の健康を脅かす差別や偏見がなぜ生まれるのかについて理解を深められる
③ 生き甲斐とは何かについて自分事として考えることができる
④ 心身に障害を持った人々やその家族の支援について考察を深めることができる
⑤ 大災害時における被災者の心理を理解し、被災者の支援とは何かを考えることができる

受講の際の注意事項

受講前に必要となる知識・準備 不要
グループワーク あり
課題 なし
その他 参考図書:「よくわかるコミュニティ心理学」ミネルヴァ書房

各回の講義予定

テーマ
概要
第1回テーマ:心の健康とは
心の健康とは何かに関する2つの代表的な考え方(医学モデルと社会モデル)について考察する。
第2回テーマ:心の健康の保持・増進
心の健康を保持し増進していくために必要な「ストレス」という概念とそれへの対処法としてのソーシャルサポート(人と人との支え合い)の重要性について理解を深める。
第3回テーマ:生き甲斐について
単に病気や障害がないだけでは人生は色あせる。逆に病気や障害があっても生き甲斐があれば人生は輝く。生き甲斐とは何かについて、コミュニティ心理学的観点(社会参画、共同体感覚、ボランティア活動など)からの定義を示し、自分にとっての生き甲斐とは何かを考える。
第4回テーマ:差別と偏見
なぜ世界中で、差別や偏見による排除、暴動、殺人等が生まれているのだろうか。この回では心の健康を脅かす差別や偏見が生じる心理学的メカニズムについて理解を深め、それらの解消法について考える。
第5回テーマ:障害者の心理
日本の人口の約10%が障害者と言われているが、少子高齢化に伴い将来的にはさらに増加することが予測されている。心身に障害を持つ人々の心理と支援の在り方について考える。
第6回テーマ:エンパワメント
障害児など、生きづらさを感じている子ども達へのコミュニティ心理学的介入の事例から、心理的支援の在り方について考察する。
第7回テーマ:大災害の被災者支援
東日本大震災を例に、被災者と言われる人々に特有の反応について理解を深め、誰に対して何をすることが「支援」となるのかについて検討する。

講師紹介

久田満の画像
久田満
上智大学教授

慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(医学)東京大学。東京大学医学部成人保健学教室・助手、
東京女子医科大学教授を経て現職。元・日本コミュニティ心理学会会長 。