Life Redesign科目群
科目名 | 老年学入門~生きがいによる豊かな人生を送るために~ |
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講師名 | 早稲田大学名誉教授 和田修一 |
年度 | 2022年 |
学期 | 春学期 |
曜日 | 火曜日 |
時間 | 13時~14時30分 |
日程 | 4月19日、4月26日、5月10日、5月17日、5月31日、6月7日、6月14日、6月21日(補講日) |
講義概要
今日のわが国はいわゆる「超高齢社会化」などといわれる人口構造の変化に直面していますが、その現実を踏まえてこの講義では、老年期における「豊かな人生」ということの社会的意味について「老年期の生きがい」の視点から考えてみたいと思います。その昔、所得ではなく年金や退職金で生活を送る退職者の人びとを指して(もちろん、冗談を含めて)「あらたな余暇生活者(ニュー・レジャー・クラス)」と呼ぶこともありました。高齢者人口の爆発的な増加に直面している今となっては、それは単に昔話に過ぎないとしても、(複数の意味で)「豊かな老後生活」とは現実には叶えられない夢となってしまったのでしょうか。そうではないと思います。経済的問題はともかくとして、私たちは必ずしも悲観論に沈み込むことはないと思っています。ただ、そのためには、高年者も自らの主体性に基づく努力が不可欠であり、どのような試みが必要であるか本講義で考えて行きましょう。
受講を通して得られるもの
この講義では、以下のことに留意していきたいと思います。
・生きがいのある人生を歩むうえでその可能性を開くには自らの主体性が重要であることを学びます。
・社会的存在である私たちの生きがい形成の芽は社会関係の中に存在することを理解します。
・生きがいとは個人的満足感から始まりますが、それを超える社会的価値へのアプローチが不可欠であることを学びます。
受講の際の注意事項
受講前に必要となる知識・準備 | 不要 |
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グループワーク | なし |
課題 | なし |
各回の講義予定
回 | テーマ |
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概要 | |
第1回 | テーマ:老後生活と生きがいについて |
老年期では、中壮年期とは違った生活スタイルを送ることを求められることがしばしばあるが、その場合の生きがいとはどのようなかたちをとるのか? | |
第2回 | テーマ:幸福感(感情)と生きがいとの関係 |
中壮年期に経済的に満ち足りた生活を送ってきたひとが、老後に自らの人生の意味を改めて問い直すとき、ここに生きがいを考える原点があります。 | |
第3回 | テーマ:人生の意味(理性)と生きがいの関係 |
生活満足感とは一線を画する、生きがい形成の今一つの要素があるのですが、自らの人生の意味を問うとはどういう意識作用なのでしょうか。 | |
第4回 | テーマ:社会的価値基準(行動のパラメータ)としての生きがい |
忙しく厳しい経済生活に追われる中壮年期を離れて、「自由」になる高齢期では、生きがいということが価値基準とならざるをえないのでは? | |
第5回 | テーマ:「社会参加」という生きがい |
高齢期では、社会の中核から疎外される一方で社会との強い繋がりを求めざるを得ないというパラドクスが見られます。その二律背反を解くカギが生きがいです。 | |
第6回 | テーマ:具体的生きがい感への社会的合意 |
生きがいの中核には自らの生活・人生への満足感があることは否定できない事実ですが、その満足感を超える社会的意味の充足感も無視できない事柄です。 | |
第7回 | テーマ:生きがいの主体選択と社会的共感 |
あなたの主体的な生きがい形成があなたの周囲の人びとから共感を持って受け入れられるとき、豊かな老後生活が達成されるのではないでしょうか。 |
講師紹介

- 和田 修一
- 早稲田大学名誉教授
早稲田大学文学部卒業、東京教育大学大学院文学研究科社会学専攻博士課程中退
国立精神衛生研究所(後に国立精神・神経センター精神保健研究所)研究員・室長、早稲田大学文学部(後に文学学術院)助教授・教授、現在名誉教授
青井和夫・和田修一編著『中高年層の職業と生活―定年退職を中心として』東京大学出版会、1983年
高橋勇悦・和田修一編著『生きがいの社会学―高齢社会における幸福とは何か』弘文堂、2001年
その他