修了生レポート

内藤 知子

活動タイトル
「音楽家こそLRCに行け!~私の第二楽章」

ヴァイオリン奏者として、演奏や指導の仕事をしています。これまで「楽器の演奏」に全力を注いできました。
華やかに見える世界ですが、その裏側には、準備に費やす膨大な時間や生活の不安定さ、そして突然訪れる空白への恐怖があります。
特に、子育てとの両立に悩んでいた時期に襲いかかったコロナ禍では、社会人としての自分の脆さを容赦なく突きつけられました。音楽に打ち込んできたことに後悔はありませんが、社会の中での自分の未熟さを痛感するにつれ、「人生の基盤となるものをもう一度学び直したい」という思いが強くなりました。そんな時に出会ったのがLRCです。大学院では専門性が高すぎて演奏活動がおろそかになってしまう、仕事や生活は今まで通りのまま社会について学びたい、そんな私の願いにぴったりの学び舎だと感じ、家族に背中を押されて入学を決意しました。

 

クラスワークの仲間たちと

入学当初は不安ばかりでした。飛び交う用語は知らないものばかり、議論のスピードにもついていけない。それでも、先生方の懐の深いご指導と、寛容に見守ってくれた同期の皆さんに救われ、少しずつ前に進む実感がありました。しかし一年という期間はあまりにも短い。せっかく身についた学びの習慣を手放したくないという思いから恐怖すら感じていた頃、LRC Advanced Courceの開設を知り、迷わず二年目への挑戦を決めました。

Advanced Courceでは「恥を捨てる」をモットーに、無知であることを恐れず、積極的に声を出すことを心がけています。拙くても、笑われても、沈黙よりは一歩前へ。先生方や多彩な仲間たちのおかげで、学びは今も新鮮な驚きの連続です。仕事は続けていますが、思考の軸は確実に変わったと感じています。音楽を社会の視点から捉え直し、音楽家が誇りをもって自身の職を全うできるためのリカレント教育を模索することを、今年の研究テーマとしています。

LRCでの経験は、音楽家としての私に新しい生き方を示してくれました。
今後も、演奏活動の充実はもちろん、コーチングやドイツ語の資格取得など、挑戦してみたいことがたくさんあります。それらを通じて、社会の中での自分の役割を広げていきたいと考えています。LRCで得た学びと、恩師や仲間との出会いに感謝し、これからも軽やかに歩んでいける私でありたいと思っています。