私は2023 年3 月に早稲田大学LRC を修了しました。その後10 月に、日本語教師の養成学校に通い始めました。
LRC での1 年間、私は学びながら自分が進むべき方向を手探りしていました。あらためて自分が好きなこと、興味があることは何か、「自分探し」を続けていました。
私は、ずっと仕事人間でした。大学を出て広告制作に携わり、その後、当時の日本ではまだ注目されていないブランディングの仕事で独立し、キャリアを積みました。ブランドは奥が深く、おもしろく、たのしく仕事を続けてきました。
2020 年の春、新型コロナが世の中に蔓延し始めました。生命の駆け引きが日常化して、ブランドの仕事は徐々になくなっていきました。仕事以外に、やりたいことを見つけられない私が、ちょうど70 歳になった頃で、しかも元気でした。
どうしたものかと思っていた、ある日、早稲田大学LRC の開講と一期生の募集を知りました。私は、このニュースに飛びつきました。
LRC の授業は、学びの門戸が幅広く開放されていて多岐多彩でした。さらに加えて早稲田大学の公開講座オープンカレッジ(約2000 講座もある)も自由に選択受講できました。
こうした恵まれた学びの環境のなかで、新しい仲間も得ました。年齢・世代を越えて信頼できる友だちが出来ることは、大きな幸せでした。仲間との自主研究会は修了後もいくつも続いていて、私は2 つの研究会に参加しています。もちろん研究会の後は飲み会が漏れなく付いてきます。
最後にアイデンティティの話に戻ります。もともと私は日本語に興味がありました。私の職歴はコピーライターから始まっています。その延長線上で、いまは日本語教師の養成学校に通っています。
日本語は美しくそして繊細です。その魅力に感銘を受けつつも、同時に、学びを進めると、日本語の複雑さ、多様さ、難解さが増していきます。その底が見えない深みゆえに、足がすくみ、日本語を教えることには、ときどき戸惑いを覚えます。
アイデンティティを求めて挑戦を繰り返す旅は、まだまだ続くようです。