LRC Advanced Course Syllabus

専門科目群/Liberal Arts(教養)領域

科目名 Liberal Arts Workshop2(春学期)~"Liberal Arts"を体験する~
(夏学期)~「本格的」に、Liberal Artsに挑む!~
講師名 藁谷友紀(早稲田大学教授2025年1月現在)
年度 2025年
学期 春学期、夏学期
曜日 金曜日
時間 14時50分~16時20分
日程 (春学期)
4月25日、5月9日、5月16日、5月23日、6月6日、6月13日、6月20日
(補講日:6月27日)

(夏学期)
7月11日、7月18日、8月1日、8月22日、8月29日、9月5日、9月12日
(補講日:9月19日)

講義概要

(春学期)
Liberal Arts とは何かと問うてみると「(職業または専門技術よりむしろ)一般的な知識と知的な技能を与えることを目的とした学問」という説明を見つける。他方、「「市場向きの技能」や「仕事に活かせる必須の実用的技能」」というあたかもその反対を意味するかのような説明にもぶつかる。ヨーロッパ中等教育における古典を読み込むLiberal Artsと米国型collegeにおける「プラグマティズム」をベースとしたLiberal Artsの間にも大きな隔たりがある。日本では、戦前の中等教育におけるヨーロッパ型の教養主義が失われ、戦後の大学の「一般教養」も影を潜めて久しい。改めて「本当の」Liberal Artsを「実感する」ことを目指す。
講義の最初に、受講生の皆さんの関心あるテーマについて意見交換し、扱うテーマとアプローチの仕方を定めたい。すぐ浮かぶのは「キリスト教が欧米の社会、学問、芸術に与えた影響」「バウハウスの芸術運動はなぜ生まれどうなったか」「ロシアがウクライナに軍を送らなくてはならなかった理由は?」「ベルリンの街中にドイツドームとフランスドームが誇るように並んで立つことの意味」などなどであるが、受講生の皆さんと探したい。受講生の皆さんの関心事を知ることから始めたい。
Liberal Artsの検討方法は、領域横断的である。ここで重要なことは、関連する個別領域の知的蓄積に敬意を払うことであり、それによって初めて領域を超えた「一般的・総合的」アプローチ・考え方が可能となり、成果が得られよう。受講生の皆さんと一緒に、複雑で多様な時間と空間に入り込み、知的冒険を楽しみたいと思います。

(夏学期)
春学期は、受講者が選択したテーマについて、Liberal Arts的にアプローチすることにより、Liberal Artsとは何かを経験してもらい、その楽しさを味わっていただくことに主眼をおきました。夏学期では、その経験の上に一層「Liberal Arts的」テーマを設定して取り組みます。その際に、アプローチの仕方は幾つもあるでしょうから、アプローチの仕方を基準にグループわけし、文献・資料にあたります。経過報告、討論を経て、レポートとしてまとめます。
夏学期で選択するテーマは、春学期の経験の上に決まるので、比較的大きめのテーマになる事が予想されます。また、アプローチの仕方についても、夏学期は経験に裏打ちされた討議を経るので、採用根拠はよりしっかりしたものになる事でしょう。
重要なことは、上滑りの Liberal Arts 的議論ではなく、Liberal Arts としてテーマを設定し、論ずる事の意味を明確に意識することです。そのことを通して、Liberal Artsの楽しさを享受しましょう。人間の営みから世界を捉え直すことにより、私たちの時間の刻みは、あらためて驚きと感動をもたらしてくれることでしょう。
授業の進め方は、選択したテーマとアプローチにより少し違うものになるかもしれません。皆さんと相談しながら進めたいと思います。

受講を通して得られるもの

・テーマに応じて、個別領域の基本的考え方・知識に根差しながら、領域横断的空間と向かい合うことの楽し  
 さを知る。
・テーマに応じて、作品や資料、専門家とできるだけ直にやりとりし、テーマの厚さを実感する。
・現在は細分化した専門分野に取り囲まれている。そうした状況の中で、人間社会の営みを多面的に総合的に
 把握することを通して、驚きと楽しさ・喜びを享受する。

講師紹介

藁谷 友紀の画像
藁谷 友紀
早稲田大学教育・総合科学学術院教授、早稲田大学総合研究機構システム競争力研究所所長

1954年生まれ。福島県出身。早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、早稲田大学経済学研究科前期課程と博士後期課程で学ぶ。この間、ドイツ政府(DAAD)奨学生としてボン大学に留学し、理論経済学で学位取得(Dr.rer.pol.)。外務省専門調査員(在ベルリン)、国立ベルリン社会科学研究所(WZB)客員研究員を経て、早稲田大学教育学部(現教育・総合科学学術院)専任講師、助教授、教授、教育学部長などを経て現在に至る。専攻分野は経済学・経営学。早稲田大学の常任理事や早稲田実業学校高等部・中等部の校長も務めた。早稲田大学総合研究機構ジャーナリズム研究所の研究員も務める。2007年2011-1014年早稲田大学理事、2008年ー2010年早稲田大大学常任理事。